「…………スゲェ」

「山の頂上じゃねえのに良くここまで見れるもんだな……」



満天の、とまではいかないけど、それでも夜空に浮かび上がる光の河










*雨あがり*










天の川をまともに見たのなんて小学生の林間学校の時だけだった


今のご時世、都心に近い場所はたとえ山や海の側でも大した星は見られない
子供の中で天の川を生で見た割合もスゲェ低いらしい今日この頃、
俺が住んでる町は近隣の町と『夜電気を点けずに星を見よう』計画を発案した
電気を点けなかった位で汚れた大気がなくなって星が見られる訳でもないのに、
この辺の人はみんなお祭り好きなせいか、誰も異論をださなかった


そして今日になるまで車を使わないとか、フロンガスの使用を抑えるとか
単なる環境対策ならきっと此処まで団結してないだろ、と言いたくなる位
みんなして空をきれいにするのに一生懸命だった


そして今日、
朝から降っていた雨にもめげずに古典的にてるてる坊主作戦をとった所、
呪いか?って位町中にてるてる坊主が溢れていたお陰か、
夜には見事な天の川を見ることが出来た





***





そんな現在、俺はチカ兄とチカ兄の家の屋根の上で酒盛り中
勿論、未成年の俺は大人しく烏龍茶だけど



「――しっかし、よく此処まで晴れたよな」

「ホント、誰か黒魔術でも使ったんじゃないかってくらい急に晴れたよね」



ビールを煽りながら、雲一つ無い夜空を楽しそうに見上げるチカ兄に、
俺まで楽しくなって軽くチカ兄によりかかりながら飽きることもなく夜空を眺め続けてい た




それから一、二時間は経った頃……
さすがに冷えてきたな、なんて思った矢先



「―――っくし」

「ちっと冷えてきたか……?、部屋戻んぞ」

「え――………」

「明日出掛けなくていいなら風邪引くまで居ても構わねぇけど?」

「………戻ります」

「よし」



渋々そう返せば、
チカ兄は頷いてから俺を軽々と肩に担ぎ上げて屋根から部屋に戻っていく

………って、俺一人で降りれるんだけど?



「ん、到着ってな」

「うわっ………いきなりベッドに落とすなよな……」

「床に落とされるよりはだいぶマシだろーが」



つーかそこまで乱暴に扱ってないぞ、
と文句を言いながら隣に寝転ぶチカ兄の腕を軽く引っ張って其処に頭を乗せる
すると体温を移そうとするように抱き竦めてくれるチカ兄に小さく笑いながら目を閉じる


きっと体温がいつもと同じくらいになると同時に押し倒されるんだろうけど
それまではこのまままったりさせてもらおうと首元に擦り寄った





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変換が一つしかなくて申し訳ない(謝った!)