「………つまり、佐助が戦国時代にもいて、小太郎を追って来たんだと思った、と」
「…………」
「なるほどね…ま、警察沙汰にならなくて何よりだな」
お前身元不明っていうか、戸籍ないもんな、と言いながらわしゃわしゃと頭を撫でる
最初の頃は触れば逃げるか手を払い除けていたんだが、
最近は逃げることもなくされるがままだったりする
慣れてくれたのか諦めたのかは定かじゃないが………
…まぁ、人間関係が改善されたということにしておこう
小太郎が逃げないのをいいことに暫く撫で続けていると、
小太郎が俺のいるほうへふらりと体を傾けた
「小太郎……?」
「…………………」
「……寝てるし」
良いのか、忍者がそんなんで………
完璧に寝付いた小太郎を支えながら、起こさないように気をつけつつため息を吐く
寝てしまったものは仕方ない、しかもよく見たら服握ってやがる……
服を握られた状態で出来るようなこともなく、
再度ため息を吐いてから小太郎を抱えてその場に横になり、俺も一緒に昼寝をすることにした
腕の中で何かがうごめいている
俺を眠りの世界から引き戻そうとするその動きが気に入らず、
動きを封じるように深く抱き込むと、腕の中のモノはぴしりと動きを止めた
その一連の流れの中で、俺の頭に疑問が浮かぶ
俺、一人暮らしだったよな?
ペットも飼っていないよな?
そこまで考えてから答えを導き出すまであまり時間はかからなかった
いたよ、同居人が
「こたろ………?」
半分寝ているような状態で腕の中で固まってる小太郎の名を呼ぶ
するともぞもぞ身じろぎしながら、こくりと頷いたのがわかった
「お前、さっきいきなり寝落ちしたの覚えてるか?」
「……………」
また小さく頷いたのを確認してから小太郎ごと起き上がる
固いフローリングで寝ていたせいで痛む背中を無視しながら、
膝に乗るような体勢になっている小太郎を見下ろす
俺の上に乗り上がる形で寝てたから、背が痛むとかは無いようで、
早いとこ俺から離れたいのかそわそわとしながら部屋を見渡していた
「(かわいーやつ……)………さて、晩メシの支度でもすっか
…小太郎、眠かったらその辺で寝てていいからな」
くしゃん、と髪を混ぜてから立ち上がり、キッチンに向かう途中肩ごしに背後に視線をやれば
もぞもぞと隅に置いてあるクッションに埋まって寝心地の良い体勢を模索している小太郎が見えた
「…………ダメだ、可愛すぎだろ」
男として、若干間違った感想が出たが、可愛いものは仕方がない
元々小動物や犬猫が好きなのだ、
野生本能丸出しの初期といい、後々判明した幼い感じさえする行動を目の当たりにして耐えられるか
一応、そのうち元の時代に戻る…方法知らないみたいだが、
戻る予定なんだろうし、ここにいる間ぐらい可愛がらせて貰おう、と
部屋の隅で眠る小太郎からしたらとてつもなく迷惑かもしれないことを考えながら、
可愛い同居人のために晩飯を作り始めた
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